Wood Report 

用語集

ANAI WOOD FACT0RY

目次

1 国内の森林資源の現状
  • 1.森林資源と木材の需要、供給
  • 2.木材の需給動向
  • 3.木材価格の推移
  • 4.住宅着工の動向
2 木材の流通
  • 1.木材流通の現状
  • 2.丸太の流通
  • 3.製材品の流通
3 木材の特性
  • 1.木材の構造
  • 2.木材の利用と環境
  • 3.木材の乾燥
4 木材と住環境
  • 1.住まいと湿度
  • 2.木材の暖かさと断熱効果
  • 3.床材の安全性と快適性
  • 4.目にやさしく美しい木目
  • 5.木の香りと健康
5 木材と住宅
  • 1.建築材料としての特性
  • 2.建築材料としての木質材料
  • 3.建築基準と木材が使える範囲
  • 4.木造建築物と工法

3.木材の特性

1.木材の構造

木材の組織構造
樹木は円筒形の幹と枝と、それを支える根からなっています。製材をはじめ木材工業の原材料として使われるのは、ほとんど幹の部分です。
樹木の幹には樹皮と木材の部分があり、その境界に形成層があります。樹木はこの形成層で、細胞を分裂し、内側に木材を外側に樹皮を生産しこれによって年々肥大成長していきます。
木材の木口面を肉眼でみると、樹心から同心円状の年輪があり、また樹心から外周に放射状に走る放射組織があります。木口面全体は外側の比較的淡い色の辺材(白太)と内側の着色した心材(赤味)に分けられるのが普通で、樹木の成長に伴って辺材は次第に心材に変わっていき、その樹種本来の色や特性を持つようになります(モミ、トウヒなど心材が着色しない樹種もあります)。
木口面を顕微鏡で見ると、針葉樹材は同じような円形ないし角張った細胞(仮道管)が並んでいます。この細胞は、春から夏にかけて生長した大きめで壁の薄い細胞群(早材)と夏から秋にかけて生長した小さく壁の厚い細胞群(晩材)が交互に並んでいます。早材と晩材で年輪です。

針葉樹と広葉樹の組織構造
私たちの周りには、大きさ、形など様々な樹木がありますが、大きく針葉樹と広葉樹に分けられます。それぞれの樹種はまず仲間同士で属に、さらに属は科にまとめられます。
樹木は花や実などにより分類されているのが一般です。また、ほとんどの木材は、属の単位で共通的な特徴がみられます。
針葉樹の円形ないし、角張った細胞(仮道管)をみると、樹脂の入った樹脂道が散在しているものがみられます。樹脂道をもっている代表的な樹種が赤松、蝦夷松、唐松です。
広葉樹は小さな細胞(木繊維)の中に径の大きい管のような細胞(道管)が多数みられます。この道管の有無によって針葉樹と広葉樹は見分けられます。
さらに道管の配列によって、広葉樹は分けられます。大きい道管が年輪界に沿って並ぶ環孔材と、年輪内で道管が全体に散らばっている散孔材、放射状に並ぶ放射孔材などに区分されます。
代表的なものとしては、環孔材がミズナラ、ケヤキ、ヤチダモ、散孔材がブナ、マカンバ、カツラ、放射孔材がアカガシ、シラカシなどがあります。
ミズナラ、シラカシ、ブナなどは放射組織が大きく目立つことが特徴で、道管の状態と相まって特有の木目が形成されます。
木材の主要構成要素である針葉樹の仮道管、広葉樹の木繊維は長さが径の数十倍もある細長い形で、材の縦方向に配列し、全体としていわゆるハニカム構造となっています。
しかも、個々の細胞はセルロースの束(ミクロフィブリル)が層状に重なった丈夫な壁からできています。
木材は材料としてまず美しい材色、木目があげられ、加工しやすいこととあいまって建築、家具などに広く利用されますがこれらの特性は全て、「細長い中空の細胞が整然と並んでできている」という組織構造に起因しています。

2.木材の利用と環境

木材資源と環境
地球温暖化が進み、赤道付近の砂漠化、氷山の溶出など、地球環境の変化が心配されるようになり、二酸化炭素の吸収源であり、貯蔵庫でもある樹木、そしてその集まりである森林の働きが大きく注目されるようになってきました。
しかし、森林を伐採しては二酸化炭素が貯蔵されず放出されることになる、と考える人がいるかもしれませんが、実はそうではありません。伐採された樹木は加工され、住宅や家具など様々な形で利用されますが、それらを廃棄して焼却しない限り、二酸化炭素を放出することにはなりません。炭素を貯蔵していることでは、木材も森林と同じです。
たとえば、床面積100㎡の2階建ての木造住宅は、約5tの炭素を貯蔵しています。この試算で、国内の住宅で使われている木材が貯蔵している炭素の量を計算すると、森林全体の約22%に相当します。このように考えると、木造住宅は「街の中のもう一つの森」ということもできます。

森林は再生産が可能な資源
森林は再生させることができるので、伐採すれば植えるというサイクルを維持していけば、二酸化炭素を増やすことはありません。つまり、木材の廃棄・焼却量が森林の生長量を上まらなければ、大気中の二酸化炭素を減らすことができるのです。
そのためには、木材をすぐに廃棄してしまわずに、新しい木が生長するまでの期間は利用することです。もともと木材は長期間の利用が可能です。さらに最近は、家屋の解体材を各種のボード製品やパルプ材、木炭などに再利用しています。
このようなリサイクルを繰り返しても、いずれ廃棄されるときはきます。そのときも木材は、プラスチックやビニール製品などとは違って、生分解性があるので肥料として活用できます。

エネルギー消費が少ない住宅資材
木材は製造時のエネルギー消費量が他の材料に比べて少ないという特徴があります。資材を生産する際にどのくらいのエネルギーが必要なのかというと、木材の製造に必要なエネルギーは鋼材やアルミニウムに比べて著しく少ないことが分かります。
1t辺りで比較すると、鋼材は人工乾燥材の5倍、アルミニウムは68倍と桁違いに多くなっています。エネルギー消費量が多いことは、それだけ二酸化炭素などの放出量が増え、温暖化を助長することにつながります。エネルギー消費量からみても、木材は鋼材やアルミニウムに比べて地球環境に優しい資材だということができます。
このような性質をもった木材を使うと、地球環境に対する負荷を削減することにもつながります。例えば、床面積136㎡の建物の資材を製造する時に必要なエネルギー消費量を工法別に比較すると、鉄筋コンクリート造(RC造)は木造の42倍、鉄骨造(S造)は2.9倍になるという推定結果があります。
木材は再生産可能な資源であり、長期間にわたって利用ができ、しかも製造時のエネルギー消費量が少なく、廃棄しても公害を発生しません。これらのことを考えると、木材は地球環境への負荷が少ない「エコマテリアル」な素材であるといえます。
人間のさまざまな社会・経済活動にともなう地球環境の劣化をくい止めていくことが、重要な課題となっていますが、「エコマテリアル」な木材を活用することを通じて、環境保全に貢献することもできるのです。

3.木材の乾燥

木材の乾燥はなぜ必要なのか
森林に生長している樹木は沢山の水分を吸収・貯蔵して生きています。その量は、樹種や樹木の部分で異なります。この樹木を木材に加工し、建築物などの材料として使用するには、これを乾燥して木材の色々な特性を引き出して使います。木材を乾燥すると次のような利点があります。

①重量が減少し、輸送や取扱が容易になる。
②製品の狂いなどが起こらなくなる。
③変色や腐れを防止する。
④木材の強度的な諸性能を高めます。
⑤加工性や接着性、塗装性などを向上させます。

木材が乾燥していく過程で、含水率が繊維飽和点と言われる30%以下になると収縮し始めます。しかも収縮量は、木材の繊維方向の違いで同じではありません。ですから、あらかじめ乾燥させた後で加工する必要があるのです。狂いの防止ばかりでなく、構造材料として重要な強度も乾燥した木材は強くなります。

木材の含水率と天然乾燥
木材の含水率は、性能・品質・加工にはもちろん、取扱いにまで影響を持っています。含水率はパーセント(%)で表示されますが、しばしば100%を超えます。これは、木材含水率の測定方法が乾量基準で決められているためです。
木材は、網目状に構成された木繊維からできていますので、スポンジのように体内に水をため込みます。この水は自由水と呼ばれ、乾燥過程で最初にこの自由水から失われますが、この間は木材の収縮は始まりません。木の繊維の中に入り込んだ水を結合水と呼びます。自由水が無くなった後、乾燥が始まり結合水が失われることにより、木材の収縮が始まります。
木材含水率は、上記の絶乾燥重量法で測定しますが、含水率の異なる木材の電気的性質の違いを利用した木材水分計で直接、即時におおよその水分を測定することができます。また、木材を桟積みし、自然に乾燥する方法を天然乾燥といいます。この木材のことを、天乾材、AD(Air Dry)材といいます。一般に板材の人工乾燥の前処理として行われることが多いのですが、柱材などは、割れが生じやすく、乾燥時間も長くなります。

人工乾燥の方法
従来木材の人工乾燥は、フローリングや家具製造用の広葉樹材の乾燥が主力でした。集成材の発達により針葉樹のラミナの人工乾燥が必要となっています。最近では、住宅建築部材として使用する材に乾燥材を使用して精度と品質を高める必要から、針葉樹を使用して精度と品質を高める必要から針葉樹の乾燥が進んでいます。
人工乾燥は、天然乾燥と比べて大変短い時間で乾燥できます。乾燥する木材が割れなどを起こさないよう蒸気・水の噴霧による加湿装置、送風装置を備えて、これらの巧みな操作による乾燥条件で乾燥を行います。これらの人工乾燥室は、大きな部屋のようになっており、規格は様々です。
代表的な人工乾燥装置である蒸気式IF型乾燥室です。桟積みした材を乾燥室に入れ、室内の空気を蒸気管によって加熱し、室内に設置した送風機により温湿度が均一になるように熱風を循環して乾燥します。この方式は広範な温湿度の設定が可能で、どのような樹材種に関しても適切な対応が可能です。杉材を乾燥したとき、含水率が20~10%までで1~2週間を必要とします。この乾燥スケジュールは、乾燥機の性能、乾燥する木材の寸法断面で異なり、また樹種によっても異なります。

その他の人工乾燥方法
人工乾燥装置としては、蒸気式IF型乾燥室が最も一般的で、通常加熱した空気を送風して木材から蒸発させた水分を換気で排出して乾燥しますが、それ以外の方法もあります。

①低温除湿乾燥装置は、ヒートポンプ方式で室内水分を除去すると同時に、冷却空気の顕熱と水蒸気凝縮の潜熱とを再利用する省エネ型です。その構成と温湿度の変化は、一般的に乾燥時間はやや長めになりますが、設備費が安く、乾燥材の変色損傷が少なく、取扱いも容易である特長をもっています。

②真空式乾燥装置は、密閉耐圧の缶体の中に普通高周波加熱装置を組み込み、缶内の木材の水分を減圧と加熱によって迅速に乾燥する装置です。水の沸点を40℃程度に低下するまで減圧するので乾燥時間が大幅に縮小され、木材の変色や落ち込みなどの乾燥による損傷は少なくなります。設備費と運転費が高く、一度に大量の処理ができないのが弱点です。

③自然エネルギー利用乾燥室は、乾燥のためエネルギーを石油、電気などに頼らないエコロジカルな乾燥装置です。大別して、太陽熱や地熱を吸収する媒体が空気のものと水を用いたものになります。空気の場合は、加熱空気が直接木材の乾燥に使われ、水の場合は、得られた温水で室内を加熱します。