Wood Report 4 木材と住環境

1 国内の森林資源の現状
  • 1.森林資源と木材の需要、供給
  • 2.木材の需給動向
  • 3.木材価格の推移
  • 4.住宅着工の動向
2 木材の流通
  • 1.木材流通の現状
  • 2.丸太の流通
  • 3.製材品の流通
3 木材の特性
  • 1.木材の構造
  • 2.木材の利用と環境
  • 3.木材の乾燥
4 木材と住環境
  • 1.住まいと湿度
  • 2.木材の暖かさと断熱効果
  • 3.床材の安全性と快適性
  • 4.目にやさしく美しい木目
  • 5.木の香りと健康
5 木材と住宅
  • 1.建築材料としての特性
  • 2.建築材料としての木質材料
  • 3.建築基準と木材が使える範囲
  • 4.木造建築物と工法

4 木材と住環境

1.住まいと湿度

住宅の内装材と湿度
人間の快適さに影響する気候要素は、温度と風速、それと湿度です。特に湿度は、気持ちよく過ごすためには重要で、温度と風速をいかに調節しても、湿度が高い環境では快適に感じられません。快適で過ごしやすい住環境をえるためには、住宅に基本的な湿度調節機能が備わっていることが必要となります。
住宅の内装材が湿度にどのような影響を及ぼすかを観測した結果があります。ビニール内装の空間は、一日周期で著しい湿度変化がみられましたが、合板内装の空間では湿度が50%前後に保たれていました。
この観測は、平屋建て6畳の小型住宅に、一棟には窓とドアを除く全内面に厚さ5ミリの合板を、もう1棟にはビニールの内装を施して、それぞれ温度と湿度変動を記録したものです。合板内装の住宅で湿度が一定に保たれていたのは、合板が湿気を吸収・放湿し、室内の湿度を調節していたと考えられます。
このような実験結果から、構造材や内装材、家具などに木材が豊富に使用されていると、湿度変動が緩和され、快適な環境を作り出せることが明らかにされています。

湿度と人間の快適さ
人間の快適さに最も影響する湿度は、衛生、居住者の生理、病気とも深く関わってきます。例えば、微生物は住宅内に必ず認められるといわれ、その数は驚くほどだそうです。微生物は適度な湿度、温度のときに室内のほこりを栄養源にして繁殖します。
また細菌を住宅26棟で分析した結果では、ほこり1グラム当たり一般細菌数6万400、環境衛生の指針となる大腸菌4800、黄色ブドウ状菌2700、セレウス菌2800、緑膿菌120が発見されます。細菌類はほこりと共にカーペットなどの内部に潜り込み、人や物が動くと空中に舞い上がり浮遊菌となります。この浮遊菌は、高湿度、または低湿度で、長時間生存しますが、湿度が50%の状態では大半が死滅します。
ダニやカビも居住者の健康に悪影響を及ぼします。カビは喘息や肺疾患症などの原因となりますが、ダニやカビ類も一般に温度、湿度が高いところで増殖します。いずれも湿度が80%以上にならないようにする配慮が有効な防止策です。これらの微生物の栄養源も室内のほこりです。室内のほこりは、人やペットから発生するふけ、あか、毛、また室外から侵入する花粉、土砂などの内部に入り微生物の栄養源となります。
コンクリート住宅の絨毯、畳をナラ材の床に改築すると、ダニの生息数が激減します。木の床にはダニなどが潜り込んで生息するための場所がなく、また掃除機で簡単に吸引できることなどから、増殖条件を少なくするのです。
そのほか、杉、檜には精油の一種にダニ増殖抑制成分が含まれていることなども、減少する理由と考えられています。したがって、室内を健康的に過ごしやすい環境を保つには、ほこりの除去とともに、微生物にとって好適な湿度環境を作らないことが重要です。

調湿性能と結露
木材の調湿性能は、住む人の健康だけでなく、住宅の保全的役割にも関わる要素です。住宅内に限って考えると、カビによる汚損などのもととなる湿害を防ぎ、水滴が垂れるような表面結露も生じにくくしています。
結露は、冬季や夜間になって窓や壁の外側が冷えたときに生じるものです。外気が冷えると窓や壁の温度も低下し、その結果内側の窓ガラスや壁面に水滴が生じます。この水滴が表面結露と呼ばれるものです。表面結露は、炊事場や風呂から大量の水蒸気が流入したときや、夏季の冷房時にもみられます。
結露には、材料の熱伝導率や熱容量が関係しています。木材はアルミニウムやガラスに比べ熱伝導率が小さいことが、表面結露を起こしにくい理由の一つです。また、木材は多量の水分を保有できる細胞の集合体で、吸湿・放湿性をもっていることも、アルミニウムやガラスとの決定的な相違点です。
住宅内の湿度は、気候、季節、立地、生活様式によって変動するだけでなく、住宅の構造、開口部の位置や大きさ、扇風機などの生活器具によっても影響を受けます。また、湿度が極端に高かったり、低かったり、あるいは大きく変動することは、健康上からも望ましいものではありません。
住宅内の湿度を、住宅材料だけで調整することは困難ですが、炊事などで水蒸気を多量に発生するときには、換気扇を回し窓を開け風を通し、室内の湿気を調整します。そのため、重要なことは、住宅の基本的な調湿性能です。住宅がどのくらいの湿度調節機能を備えているかです。このような観点から住宅材料を考えると、調湿性能をもつ木材や木質材料は最適です。

2.木材の温かさと断熱効果

木材は熱を伝えにくい
針葉樹の細胞を細かくほぐしていくと、約3㎜くらいの中空で細長い、紡錘状(ぼうすいじょう)の細胞一本一本に分離できます。この細胞が、杉の木口面1c㎡には、数万本もつまっています。しかもそれらの中に、身近な材料として最も熱を伝えにくい空気が含まれているため、木材は熱を伝えにくく、断熱材に匹敵するほどの効果が期待できるのです。
熱は温度の高いものから低いものに移動しますが、その速さが熱伝導率として表されます。移動が速いほど、熱伝導率の数値が大きく、熱が伝わりやすいことを意味します。それぞれの素材で比較してみると、コンクリートは杉の12倍、鉄は483倍も熱を伝えやすいことが分かります。それでコンクリートや鉄は手で触れると冷たく、木材は熱を伝えにくいため温かく感じます。
この性質を利用したものが、鍋などの調理道具の取っ手や柄です。鉄やステンレス、アルミニウムなどは、熱が伝わりやすくすぐに熱くなってしまうため、木製の柄が使われます。また、正反対の冷たさでもこの性質は利用されています。寒い地方で、外に面したガラス戸やドアの取っ手などに木製のものを使うのは、取っ手やドアの冷たさが手に伝われないようにするためです。つまり、取っ手やドアに触れた手から体の熱が奪われないようにしているのです。

材料の違いによる足の冷え
熱の伝わりにくい性質と人の健康との関わりを調査した資料は、多数発表されていますが、その1つに疲労と床材料の調査があります。それによると、時間の経過に伴う皮膚の温度低下は木材が最も軽微で、コンクリートが最も激しく、ビニールタイルがこれについでいます。
コンクリート床は足が冷えて疲れると感じるのは、材料であるコンクリート床は足が冷えて疲れると感じるのは、材料であるコンクリートが持続的に足から熱を奪っているためと考えられています。
また、足が床に接しているとき、熱がどのくらい流れるかを調べた実験結果をみると、接触直後の最大熱流量と10分後の熱流量が記録されています。熱流量はカーペットが一番少なく、木質床材は接触直後はカーペットよりわずかに多いのですが、その後カーペットと変わりません。つまりカーペットと同じような温かみになっているのです。
これらを総合的に評価すると、断熱効果のある木材は足の冷えを防ぎ、疲労感も増大させない素材で、長時間床に接しているデパートや工場、美容室などの職場には最適といえます。

気候変動と木造住宅の居住性
日本の夏は熱帯なみに暑く、冬は寒気が厳しいため、人が心地よく健康に過ごすためには、夏涼しく冬は暖かい住宅が望まれます。住宅がどの程度、暑さ、寒さを緩和しているのか調べた実験結果があります。1年間の外気温と木造住宅、鉄筋コンクリート住宅それぞれの室温を調べたものですが、これによると、1年間の外気温は最高30度、最低マイナス5度まで変動しています。それが、木造住宅内は10~28度、鉄筋コンクリート住宅内は18~30度で、ともに外気温を緩和していることが分かります。
室温を木造住宅と鉄筋コンクリート住宅で比較すると、住居としても都合がよいことですが、木造住宅は夏の最高気温が低くなっています。また、冬の最低気温も木造住宅では低いのですが、居住性からみるとこれも決して欠点とはなりません。
冬の最低気温が低い理由としては、木造住宅の構造が開放的で、熱が比較的逃げやすいことが考えられます。また、熱容量(蓄積容量)が鉄筋コンクリート造住宅より小さく、部屋への熱放出が少ないことも影響しています。
これを居住性からみると暖房機器を使用したときに、木造住宅では室温が素早く上昇することになります。ところが、鉄筋コンクリート造住宅では、暖房をしても鉄筋コンクリート壁などに熱が奪われ、部屋が暖かくなるまでに時間がかかります。夏は熱を含んだコンクリートによって、朝方まで室温が下がらないということになってしまいます。
最近の住宅は、温度環境をコントロールしやすくするため、従来の開放的建築様式から密閉度の高い建築様式に変わりつつありますが、ダニ・カビの問題はその過程で生じたものであり、住宅における気候風土性を無視することの危なさを示すものといえます。
日本の住宅はこのことをふまえた上で、住宅における熱的性能を向上させることが、住む人の健康から考えても必要です。

3.床材の安全性と快適性

床の歩行感
床は表面の仕上げ材によって、歩きやすいとか、歩きにくいという歩行感が異なります。歩行感に影響するのが、床の滑りです。例えば、歩くときに歩幅を狭くし歩行速度を遅くするのは、床が滑りやすいと判断し、体を安定させようとするからです。こういう床は、歩きにくいと感じ、歩行感が悪いと判断されます。
床仕上げ材の歩行感を調べた実験結果があります。桧やカエデモザイクパーケットの床は、滑ったり、ひっかかったりせず歩きやすいとの評価を得ています。また、床の滑りやすさは快適性、安全性にも影響します。床は滑らかすぎても、快適性、安全性の評価が低くなります。快適で安全と感じられる滑りやすさの程度はほとんど一致し、最適値があります。この最適値の範囲に含まれるのが、カエデモザイクパーケットや桧の床です。

床の快適性と安全性
人は歩いているとき、あるいは飛び跳ねたときに、足や膝、腰などに衝撃を受けます。衝撃の程度は材料の衝撃吸収力により異なります。では、人が床に転倒したり壁に衝突したときには、どのくらいの衝撃力が発生するのでしょうか。例えば、90cmの高さから人が飛び降りたときには、約400㎏の力が作用するといわれます。その衝撃力は床材料でことなりますが、柔らかい発泡ウレタンであっても、超重量級の関取が頭にのしかかったときに受ける力に匹敵するほどです。このような衝撃力が、転んだり、飛び跳ねたときに瞬間的に足や腰などに加わると考えられます。
衝撃力は床の材料で異なります。例えば、茶碗を布団の上に落としても割れませんが、コンクリートの上に落とすと割れてしまいます。布団とコンクリートでは、衝撃の吸収力が違うからです。
衝撃の吸収力を割れやすいガラスの玉を落下させて調べると、木材とコンクリート、プラスチックの床とでは、2~3倍もの違いがみられます。木材は物が衝突するとまず表面層の細胞が柔軟に変形し、さらに次の層の細胞が変形して衝撃が伝わります。そして、細胞から細胞に伝わる間に、衝撃力も吸収され緩和されていきます。
また、木質材料の床は、人が飛んだり、跳ねたりしたときの衝撃力を、適度なたわみ変形と滑らかな戻りによって和らげます。特に、激しい運動をする体育館の床などは、材料の衝撃吸収力だけでは対応できないため、たわみ変形による緩和効果が求められます。
転倒や転落事故を防ぐには、床や階段の表面材料を滑りにくいものにすることが大切です。さらに軟らかく衝撃を吸収・緩和できる木質材料にしておくと、万一のときにも大事に至らないですみます。このような配慮は、住宅だけでなく病院、老人施設、地域の集会場、娯楽施設など公共施設においても欠かせません。

4.目にやさしく美しい木目

自然がつくった造形美
針葉樹材の模様は、年輪の輪郭の明確さと、その色合いによって印象的です。特に天然林の老齢樹では、年輪幅が狭く均一で、すっきりと整った感じの木目が出現します。広葉樹は材面に現れる大きな道管の走行・分布・配列によって独特の模様を織成し、加えて樹種ごとに異なる色彩がみられます。特に装飾的、希少性のあるものは、価値が高くなり、杢(モク)と称され銘木として珍重されます。
材面に現れる模様は、樹木の生長環境により微妙に変化しますが、針葉樹の木目は生長量が大きいときは年輪幅が大きくなり、成長環境が悪いときには小さくなります。そのため年輪幅は一定ではなく、自然なリズムは、人の目に自然で、深みのあるものとして受け取られ、心身をリラックスさせてくれる揺らぎも感じられます。

目にやさしい反射
木材には上品な光沢があります。「つるつる」も「ざらざら」もしていない光沢感こそ、ガラスやコンクリートではつくりだせない木材の魅力です。木材の光沢感は、細胞の微小な凹凸によって、光がミクロに錯乱するために生み出されます。さらに、光が錯乱して反射することで、まぶしさも軽減されています。
また、人が感じることのできる波長を光と呼びます。その範囲は、380~780ナノメートルと比較的狭く、380以下と780以上は人の目では見えないのですが感じることのできる波長です。
380以下の波長には紫外線が多く含まれ、人の目に有害で、その典型的なのが雪目です。木材は紫外線の反射が少なく、目に与える刺激が小さいことが特徴です。780以上の波長は赤外線で、木材からの反射は大きく、これが木材に温かさを感じる要因の1つになっています。実際に、室内に木目・木材色の割合が増加すると「あたたかさ」の印象が強まることは、感覚調査で確認されています。

木材の色と木造住宅の情緒的特性
物の色は放射される光の波長で決まります。その光の色覚には、色相、明度、彩度の3つの要素が関係します。色相(色合い)は赤、青、黄色、明度は色の明・暗、彩度は色の鮮やかさ、鈍さを示します。
木材の色は樹種により異なりますが、色相は黄色から赤色の暖色と呼ばれる範囲に含まれます。明度は「物」の重量感覚に影響します。黄色系統の木材は「軽快な」「すっきりした」イメージで、赤系統の材は「重厚で深みのある」という印象を与えます。彩度から見ると木材は彩度の低い材がおおく「渋い」「落ち着いた」イメージになります。
このような色彩と木目の自然な造形、光沢により、木材は視覚的にも情緒的にも快適な素材として評価されます。さらに、「木」が住宅の構造材、内装材として使われると、毎日の生活が「木」に刻まれ、独自の光沢と表情をもつようになります。
時間の経過とともに、住んでいる人と家が一体となり、「木」の表情が魅力的に変容するところが、木造住宅ならではの情緒をかもし出します。また、和室の情緒によって癒される時間がもてます。花を活ける床の間、宴会や料理を囲む座敷や茶の間など、部屋の表情は生活を豊かに演出してくれます。
私たちは日本の豊かな森林資源を背景として、世界にも類を見ない木の文化をもっています。歴史上最古の木造建築物、法隆寺、広隆寺をはじめ、1200年以上経た建築物が20数棟も現存します。そこには、独創的な芸術性、美意識が見事に表現され、また日本人独特の繊細な情緒が発揮されています。
建築素材や道具としての機能だけを追及するのであれば、鉄やコンクリート、木を模した工業製品でも十分なはずです。それが、現在でもなお木造住宅にこだわるという、私たち日本人の思いは「木」が作り出す空間に心が和むという、情緒的特性を感じるからではないでしょうか。

5.木の香りと健康

木の芳香
人の嗅覚は、数万種のにおいを識別できるといわれます。においからイメージするものは、人それぞれ異なり、それも主観的で嗜好性がみられます。好きなにおいは「香り」となり快適で気分を爽快にしてくれますが、嫌なものは「くさい」もので不快で耐え難いものです。
では、樹木のにおいは、どのように感じられているのでしょうか。10種類の葉のにおいに対する嗜好性を調べると、杉、桧は大変好ましく捉えられています。

樹木のにおいと薬効
森のにおいに包まれていると、気分が爽快になり、ストレスも解消され心身がリフレッシュします。その効果は、住宅、家具、木の器として使われても変わらないもので、木製品からただようほのかな香りに心の安らぎを覚えます。これは木材に、においのもととなる成分が含まれているからです。木材のにおいは、材内にある精油成分が発するもので、成分も含有量も樹種により少しずつ異なります。それで桧、杉、松などそれぞれが独自の香りと趣を持っているのです。
また、1つの木には50種類以上もの精油成分が含まれているのが普通で、それぞれの成分は特有の働きをもっているため、木の香りの効能は幅広く、変化に富んでいます。このような、木の香りの効能は、生活の中で色々な形で生かされていますが、その代表的なものとして、次のようなものがあげられます。

・消臭作用
日本では古くから茶殻を畳にまいて掃除をする習慣がありました。茶殻が埃を吸収してくれるからですが、同時に、茶の成分にある消臭効果を利用しているものです。茶をはじめとする椿科の植物は、糞臭であるメチルメルカプランやニンニク、魚などのにおいを消す精油成分を含んでいます。
公害の対象となる代表的なものとしてアンモニア、亜硫酸ガス、酢酸などがあげられます。アンモニアに対して桧葉精油、松精油、ヒバ精油が90%以上の脱臭率を、亜硫酸ガスには100%の脱臭率が記録されています。

・防ダニ作用
最近、家に生息するダニに悩む家庭が増えていますが、ダニは気管支喘息、アトピー皮膚炎などの原因となります。特に気管支喘息の50~90%は、室内のダニが原因です。木のにおいには、このダニの繁殖を抑制する作用があります。桧、杉などの国産材、米杉などの北米材のにおいでダニの繁殖が抑えられることが確かめられています。
特に、杉には、ダニを殺す作用がありますが、一番強力なのがクマリンです。このにおいのもとでは、ダニは一日で全滅します。クマリンは桜の葉から抽出される成分で、桜餅の葉から発する独特の甘い香りです。

・殺虫・防カビ作用
杉の葉を蒸した蚊取り線香、楠木から得られる防虫剤などが一般に知られていますが、このほかにも多くの精油成分に昆虫忌避効果が報告されています。また、木のにおいの中には、クロカビやアオカビ類、木材腐朽菌などの細菌に抵抗力をもっているものがあります。特に、桧、ヒバのにおいには強い抗菌性が認められています。
このように木のにおいは、害虫を追い払い、カビを防ぐなど不思議な力をもっています。抗生物質や合成薬品などのような強力な作用はないのですが、反面穏やかに作用するため、副作用が少ないことが特徴です。環境汚染、抗生物質の耐性菌などが問題視されるようになり、天然精油の特性が見直され、研究も盛んに行われています。

森のにおいと健康
森の中に入ると、すがずがしいにおいに包まれます。このにおいが樹木の発散する芳香、フィトンチッドです。フィトンチッドは、直物がたえず侵入しようとする微生物から身を守るためにつくりあげてきたといわれます。森の中には、動物の死体や種々の堆積物があります。本来なら、これらの悪臭が気になるはずなのですが、それをまったく感じさせないのは、フィトンチッドが抗菌性や消臭効果をもち、環境を浄化する能力があるためです。
桜餅や柏餅、笹団子も、鮨屋のケースにみられる杉や桧の葉も、刺身に添えられるシソの葉もフィトンチッドの殺菌力、消臭効果をもち、環境を浄化する能力があるためです。フィトンチッドは人の健康にも、好ましい影響を及ぼすことも、科学的に明らかになってきています。こういうことから、森の中でフィトンチッドを胸一杯に吸い込み、心身を鍛えようという森林浴も盛んになってきています。